パニック症(パニック障害)は、きっかけや理由なく不意に激しい発作症状(パニック発作)が起きる病気です。激しい呼吸困難や動悸やめまいが起き、強い不安や恐怖を感じますが10分から30分ほどで収まります。状況や場所に関わりなく繰り返し起きるため、いつ起きるのかわからない不安(予期不安)をもつようになり、患者の日々の行動に変化が起きるのがこの病気の特徴です。100人に1~2人が発症する病気で、女性により多く見られます。
パニック症(パニック障害)の症状や治療法
〇症状
発作時には、動悸や息切れ、発汗やふるえ、息苦しさや窒息感、あるいは胸部や腹部の不快感や、めまい、熱感や冷え感、手足のしびれなどの症状が起きます。こうした発作が、きっかけや理由なく起き、
死んでしまうのではないかと思うほどの恐怖や不安にかられます。(発作で実際に死ぬことはありません)また、そのような発作が繰り返し起きるため、発作が起きることへの不安から、発作が起きそうな場所や状況、人との接触などを避けるようになることがあります。エレベーターや電車、映画館や美容室、歯科、人混みなど、すぐに逃げられない、または助けが得られそうにない状況や場所にいることに恐怖や不安を抱き、回避行動をとるような状態を広場恐怖症と呼びます。
〇治療法
パニック症の治療では、カウンセリングでの支持療法や認知行動療法、曝露療法、自立訓練法などが有効とされています。また、薬物療法では広場恐怖を抑制するSSRIなどの抗うつ薬を中心に、パニック発作や予期不安に効くとされるベンゾジアゼピン系抗不安薬もよく併用されます。ただし、ベンゾジアゼピン系抗不安薬は依存性が強いとされています。
パニックが起きたときの対処法
パニック発作が起きた時には、横になってうつ伏せになったり、椅子に座った状態で前かがみになるなど楽な姿勢をとること、息をしっかり吐くことを意識して呼吸を整えて発作が落ち着くのを待ちます。また衣類が窮屈な場合は緩めたり、車のなかにいる場合は窓を開けて外の空気を吸うことで楽になることもあります。自分が落ち着ける方法を見つけておくことで、パニックの不安を和らぐことがあります。
〇自分でできるケア
パニック症の治療では、生活上のストレスをなるべく減らすことが大事です。過労や睡眠不足があれば改善し、運動や入浴の習慣をつけたり、呼吸法を日々の生活のなかに取り入れることも有効とされています。
〇関連する病気
双極性障害やうつ病はパニック症と併発しやすく、発達障害の二次障害として、パニック症を発症することがあります。
参考文献
・「こころのクスリBOOKS よくわかるパニック症・広場恐怖症・PTSD」(貝谷久宜監修,主婦の友社,2018)
・「患者のための最新医学 パニック障害 正しい知識とケア 改訂版」(坪井康次監修,高橋書店,2021)
・りたりこ発達ナビ「パニック障害(パニック症)の治し方は?」